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オリンはヴァイオリンの略

こんにちは。ホーホケキョとなりの駒鳥です。

さて今日は珍しく本の紹介ですが、その前にとある映画を2本、先にご覧頂けると幸いです。その映画というのが

「あの夏、いちばん静かな海。」
「博奕打ち 総長賭博」


上はバカヤローコノヤロー北野武監督作品、下は山下耕作監督、鶴田浩二主演のヤクザ映画。この2本で何の本かピンときた方はかなりの映画通。

ということで本日取り上げる本はジャン。

eiga_ha_yakuzanari.jpg

映画はやくざなり 笠原和夫著 新潮社 2003

そうです。今回の本は「仁義なき戦い」シリーズや「二百三高地」等、日本映画史に燦然と輝く作品たちのシナリオを数多く手がけた神脚本家、笠原和夫氏の本であります。

で、何故本の紹介の前に映画を2本観て下さいと言ったのかというと、とにかくこの本の中の「シナリオ骨法十箇条」を読んで欲しいから。簡単に言うと笠原和夫自身が明かすシナリオ作劇の方法論をあらわした十か条なんですが、その内容はシナリオを書く人だけでなく、モノ創りに携わる人なら必読でありまして、必ずやあなたの血となり骨となる事間違い無しの名文章なんです。で、その中でこの2本の映画が例としてあげれているのですが、まぁ簡単にいうと「あの夏〜」が悪い見本、自身脚本の「博打打ち〜」が具体例ということで、これらを観ておくと更にあの奇跡の作劇の秘密が明らかになるって寸法です。
※「あの夏〜」が悪い見本となっていますが、それはシナリオライティング的なもので、作品としてではないので誤解無き様。

さて、その十箇条ですが、実はシナリオを書く前にしておくべき必然があります。それが以下。

(1)コンセプトの検討
(2)テーマの設定
(3)ハンティング(取材と資料蒐集)
(4)キャラクターの創造
(5)ストラクチャー(人物関係表)
(6)コンストラクション(事件の配列)
(7)プロット作り


詳細は本を読んで欲しいのでここでは書けませんが、シナリオを実際に書く前にこれだけの準備を笠原氏はしていたのです。料理で言う所の食材を集めてきて下ごしらえをする感じです。どんだけ腕のいい料理人でも、材料が悪くてはどうにもならないということでしょうか。名シナリオは偶然ではなく必然なんですねぇ。ふむふむ。

さて、下ごしらえが終えやっとこさ料理開始=シナリオ執筆ですが、その上で守るべき事柄が以下の骨法十箇条!お待たせしました!

その一 「コロガリ」※所謂サスペンス
その二 「カセ」 ※登場人物に背負わされた宿命など
その三 「オタカラ」※葛藤の具体的な核
その四 「カタキ」※敵、ライバル。
その五 「サンボウ」※正念場
その六 「ヤブレ」※破、乱調。
その七 「オリン」※感動的な場面。泣き。
その八 「ヤマ」※クライマックス
その九 「オチ」※締めくくり、ラストシーン。
その十 「オダイモク」※テーマ


詳細は省きますが、これを見て「当たり前のことちゃうの!?」と思った方。正解。これらの十箇条って、「観客から金を取れる映画」の脚本を書く為の、必要不可欠な基本的要素で、映画草創期から黄金期にかけて撮影所で、脚本家や監督、プロデューサーたちによって訂正され、追加され、削除され、練り上げられた経験と智恵の産物であり、まるで研ぎすまされた道具のようなものなんです。その道具を使って大量生産され、世界を席巻しているのが、所謂ハリウッド映画というやつでして、ややもするととかく低俗通俗のそしりを受けるハリウッド映画ですが、そこには道具としての機能美があるのです。それはそれでいいもんなんですよ。

しかしこの骨法十箇条。笠原和夫自身もこれらに則った脚本の書き方が「古くさくなってきたのではないかと感じ始め」ていることも認めている。しかし新しい時代の脚本も、素晴らしい道具を用いてこそ。古いものから脱却するには、ますその古いものを知っていないと始まりません。自分が新しいと思っているものが、実は既に使い古された手法ということは往々にしてあります。折角の新しいことも、鈍い刀では上手く切れず、想い描いているカタチにすることはできません。素晴らしい作品は素晴らしい道具でこそ作られるのものではないでしょうか。なんて。

あと、脚本を書く上で一番大切な事にも触れていますが、それはここでは秘密。これは是非自分の目で確かめて下さいね。

と、長々と書きましたが、十箇条以外にも作家笠原和夫の生き様など読みどころ満載ですので、機会があれば是非お手に取ってみて下さい。きっとあなたのココロに「松杉を植える」事になるでしょう!

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2013-04-26 : 古書について : コメント : 0 : トラックバック : 0
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天満橋の片隅で、駒鳥文庫という映画関連専門の古書店を営んでおります。ちなみにネコを飼っているのですが、名前は『店長』といいます。読みはそのまま『てんちょう』です。なので店主は平社員なのです。古本と、映画と、たまに猫。とりあえずそんな感じで日々を綴っていますのでよろしくお願いします。

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